ニセ仙人山籠もり

自跋

東大教授の恫喝——優生学史研究を始めたころ

 今は、優生学史の研究をすると言っても誰も怪しまない。ましてや、それを危険視することなど絶対にない。だが1970年代末は、事態はまったく違っていた。  数年前、ある大学の学位請求論文に、優生学史研究が提出され、審査員を依頼された。内容的にはじゅうぶんで何の問題もなかった。だが、この分野からしばらく遠ざかっていた私には、清々と優生学史が論じられ、議論が進んでいく雰囲気に、違和感を隠せなかった。私がドイツ優生学史を始めた当時、このような研究はナチス復活につながる危険な兆候と糾弾され、それに必死に抵抗した。そのことが、鮮やかによみがえってきたのである。

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自跋:『ニュートン主義の罠——バイオエピステモロジーⅡ』

 とくに見通しがあって書き始めたわけではないのだが、今回(2017年8月)、『ニュートン主義の罠——バイオエピステモロジーⅡ』(書籍工房早山)を出したことで、『バイオエピステモロジー』(2015年8月、同)、『時間と生命』(2010年9月、同)の“バイオエピステモロジー三部作”をまとめることができた。 もう一冊、わかりやすい集成版を書いてみたいと思っている。

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孤高の人——今西錦司

 私が、俗にいう‘今西進化論’の信奉者だと思っている人が意外に多いことに、最近、気がついた。そもそも、今西錦司氏本人ですら、ダーウィンの自然選択説を認めないからと言って、ご自分が独自の進化論を主張したとは、あまり思っておられなかったのではないか。

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